大使挨拶
令和7年1月1日
令和7年新年挨拶
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
2024年の日西関係を振り返ると、10月のマドリード~東京間の直行便再開に象徴される人的交流の深化のみならず、安全保障・防衛分野や経済分野においても二国間の戦略的パートナーシップの深化につながる機会が多数ありました。
一方で、年始の能登半島地震に始まり、10月のバレンシア州を中心に発生した豪雨による洪水と、悲しい出来事の多い一年でもありました。犠牲になられた方々に哀悼の意を表するとともに、御遺族に対し謹んでお悔やみ申し上げます。被害に遭われた方々と、被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。
2024年の日西関係において、顕著に進展した分野の一つが安全保障・防衛分野です。
わが国と基本的価値を共有する戦略的パートナーとして2014年に署名された防衛協力・交流覚書が10年目を迎え、その結びつきは更に強固なものとなっています。2024年中にも防衛当局間協議や共同訓練が実施されるなど、2国間の対話・協力は大きく深化しました。特にインド太平洋を舞台とした多国間共同演習「パシフィックスカイズ24」ではスペインのユーロファイター4機が初来日し、日本との協働を強く印象づけました。またスペインからは駐在武官の日本常駐が発表され、今後の更なる防衛交流に加え、防衛装備品など幅広い分野での協力が期待されます。欧州とインド太平洋の安全保障が不可分とされる今日の世界において、日本とスペインの戦略的連携が更に強固なものとなるよう努めて参ります。
経済分野では、企業間の相互交流が促進された他、新たな動きを感じられる一年でありました。実際、多数の企業が参加するミッションの派遣、当地企業による我が国新規プロジェクトの獲得、当地へ初進出する日系企業の出現、日系スタートアップ企業と当地企業との連携といったダイナミックな動きがあり、両国が有する企業の強みを活かした協力関係が確実に進展しています。しかし、両国の経済的連携のポテンシャルにはまだまだ大きなものがあると感じます。この大きなうねりを確かなものとしていくために、我々は、企業の方々がチャレンジできるよう、スペインの中央政府をはじめとして様々な機関と協力して取組を進めていきます。
文化交流の分野では、引き続き各地で日本文化事業が開催され、スペインにおいて日本文化が広く親しまれていることを実感しています。昨年はマドリード市における夏の大型文化事業「Veranos de la Villa」に日本が招待国となって参加しました。また、10月には、香川県高松市において、両国の官民学セクターの参加を得て、第24回日本・スペイン・シンポジウムが開催されました。文化交流や学術交流は相互理解の原動力であり、互いを正しく深く理解するための要となるものと考えます。各地でイニシアティブを発揮されている関係者の皆さまに心から感謝申し上げます。
2024年もスペインの様々な自治州を訪問する機会に恵まれ、各自治州では、それぞれが有する資源を活用した産業育成、観光促進等を行っており、食も含めたその土地の文化を大事にされていることを肌で感じることができました。6月には、シェリー酒の特産地であるヘレス・デ・ラ・フロンテーラ市で開催された展示会において日本酒を紹介し、シェリー酒と色や香りが似ている古酒に対し、多くの方が興味を示してくださいました。さらに、愛知県がマドリード自治州と「友好提携及び相互協力に関する覚書」を締結するなど、地方レベルで新たな交流が生まれました。文化、精神性、食(ガストロノミー)等、両国の各地域が有する特長を活かした交流に繋がるよう取り組んでいきたいと考えています。
2024年にはスペインから日本を訪れる観光客数が過去最高を記録するなど、スペインの方々の日本への関心がこれまでになく高まる中、本年4月から大阪・関西万博が開催されます。スペインパビリオンのテーマは、数百年に亘り、世界の東西を結ぶ航路として、両国の交流を育んできた「黒潮」です。400年以上前から脈々と築かれ、今日基本的価値観を共有する日本とスペインの固い絆は、世界の分断が深まり、歴史的転換点にある現在、益々重要となっています。更に、日本とスペインは二国間関係のみならず、グローバルな市場や国際社会においても連携を深めつつあります。引き続き両国が連携していけるよう、2025年も最大限の努力をしていきたいと思います。本年も変わらぬご支援・ご協力を賜りますよう、お願いいたします。
皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。
2024年の日西関係を振り返ると、10月のマドリード~東京間の直行便再開に象徴される人的交流の深化のみならず、安全保障・防衛分野や経済分野においても二国間の戦略的パートナーシップの深化につながる機会が多数ありました。
一方で、年始の能登半島地震に始まり、10月のバレンシア州を中心に発生した豪雨による洪水と、悲しい出来事の多い一年でもありました。犠牲になられた方々に哀悼の意を表するとともに、御遺族に対し謹んでお悔やみ申し上げます。被害に遭われた方々と、被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。
2024年の日西関係において、顕著に進展した分野の一つが安全保障・防衛分野です。
わが国と基本的価値を共有する戦略的パートナーとして2014年に署名された防衛協力・交流覚書が10年目を迎え、その結びつきは更に強固なものとなっています。2024年中にも防衛当局間協議や共同訓練が実施されるなど、2国間の対話・協力は大きく深化しました。特にインド太平洋を舞台とした多国間共同演習「パシフィックスカイズ24」ではスペインのユーロファイター4機が初来日し、日本との協働を強く印象づけました。またスペインからは駐在武官の日本常駐が発表され、今後の更なる防衛交流に加え、防衛装備品など幅広い分野での協力が期待されます。欧州とインド太平洋の安全保障が不可分とされる今日の世界において、日本とスペインの戦略的連携が更に強固なものとなるよう努めて参ります。
経済分野では、企業間の相互交流が促進された他、新たな動きを感じられる一年でありました。実際、多数の企業が参加するミッションの派遣、当地企業による我が国新規プロジェクトの獲得、当地へ初進出する日系企業の出現、日系スタートアップ企業と当地企業との連携といったダイナミックな動きがあり、両国が有する企業の強みを活かした協力関係が確実に進展しています。しかし、両国の経済的連携のポテンシャルにはまだまだ大きなものがあると感じます。この大きなうねりを確かなものとしていくために、我々は、企業の方々がチャレンジできるよう、スペインの中央政府をはじめとして様々な機関と協力して取組を進めていきます。
文化交流の分野では、引き続き各地で日本文化事業が開催され、スペインにおいて日本文化が広く親しまれていることを実感しています。昨年はマドリード市における夏の大型文化事業「Veranos de la Villa」に日本が招待国となって参加しました。また、10月には、香川県高松市において、両国の官民学セクターの参加を得て、第24回日本・スペイン・シンポジウムが開催されました。文化交流や学術交流は相互理解の原動力であり、互いを正しく深く理解するための要となるものと考えます。各地でイニシアティブを発揮されている関係者の皆さまに心から感謝申し上げます。
2024年もスペインの様々な自治州を訪問する機会に恵まれ、各自治州では、それぞれが有する資源を活用した産業育成、観光促進等を行っており、食も含めたその土地の文化を大事にされていることを肌で感じることができました。6月には、シェリー酒の特産地であるヘレス・デ・ラ・フロンテーラ市で開催された展示会において日本酒を紹介し、シェリー酒と色や香りが似ている古酒に対し、多くの方が興味を示してくださいました。さらに、愛知県がマドリード自治州と「友好提携及び相互協力に関する覚書」を締結するなど、地方レベルで新たな交流が生まれました。文化、精神性、食(ガストロノミー)等、両国の各地域が有する特長を活かした交流に繋がるよう取り組んでいきたいと考えています。
2024年にはスペインから日本を訪れる観光客数が過去最高を記録するなど、スペインの方々の日本への関心がこれまでになく高まる中、本年4月から大阪・関西万博が開催されます。スペインパビリオンのテーマは、数百年に亘り、世界の東西を結ぶ航路として、両国の交流を育んできた「黒潮」です。400年以上前から脈々と築かれ、今日基本的価値観を共有する日本とスペインの固い絆は、世界の分断が深まり、歴史的転換点にある現在、益々重要となっています。更に、日本とスペインは二国間関係のみならず、グローバルな市場や国際社会においても連携を深めつつあります。引き続き両国が連携していけるよう、2025年も最大限の努力をしていきたいと思います。本年も変わらぬご支援・ご協力を賜りますよう、お願いいたします。
皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。
令和7年1月
駐スペイン日本国特命全権大使
中前 隆博
駐スペイン日本国特命全権大使
中前 隆博
着任挨拶
12月12日、駐スペイン日本国大使として着任いたしました中前隆博(なかまえ たかひろ)です。スペインでの勤務は、駆け出し外交官だった1986年から88年に、バジャドリードとマドリードで生活をして以来となります。当時EC加盟に沸いていたスペインは、いまやEU第4位の大国となり、素晴らしい変貌を遂げました。一方、豊かな食文化、芸術、文化遺産といった魅力は変わることなく輝き続けており、再びこの地で皆様とともに過ごせることを大変うれしく思います。
日西関係は、伝統的な友好関係、皇室・王室間の良好な関係という強固な基盤の上に、日西交流400周年事業や外交関係樹立150周年事業等を通した相互理解の促進や、様々な分野における人的交流の活性化等により大きく発展してきました。そして現在、これを戦略的パートナーシップとしての二国間関係としてさらに強化・深化させていくべき段階にあると理解しています。
両国関係を強化させる余地はまだ多くあると思います。昨今、世界の安全保障環境は日に日に厳しくなっていますが、「欧州とインド太平洋の安全保障は不可分である」との認識の下、スペインとの安全保障・防衛分野での協力を一層強化していく所存です。2023年後期にはスペインがEUの議長国を務めることも踏まえ、日EU協力においてもスペインと連携を高めたいと思います。
また、再生エネルギーやインフラといった将来性のある分野において、日本とスペインの企業が協働し、関係を強化していくことも期待されます。私はこれまで中南米との関係に携わる機会が多くありましたので、こうした経験も活かしつつ、中南米やアジアにおいても両国企業が互恵的な共通のプロジェクトを進めていけるよう、できる限りの支援をさせていただければと思います。
国と国との関係を良くするには、両国民がお互いを理解し尊重しあうことが何よりも重要です。その意味では、スペイン人の日本に対する高い関心を大切にし、文化、学術、観光といった分野での人的交流を活性化させ、両国間の相互理解がさらに深まるよう努めたいと思います。こうした交流を妨げていた新型コロナウイルスの状況がようやく収束に向かい、日本へのビザなしでの個人観光が解禁された今、両国間に人的交流の大きな波を作っていきたいと思います。
日本とスペインは、互いに親しみを感じている友人であるだけでなく、民主主義、法の支配、人権の尊重といった基本的価値や将来の課題を共有する重要なパートナーです。4世紀にわたる友好関係を大切にしつつ、両国関係を新たなステージに上げるべく、皆様とともに最大限の努力をしていきたいと思っております。
皆様からのご支援ご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願いいたします。
日西関係は、伝統的な友好関係、皇室・王室間の良好な関係という強固な基盤の上に、日西交流400周年事業や外交関係樹立150周年事業等を通した相互理解の促進や、様々な分野における人的交流の活性化等により大きく発展してきました。そして現在、これを戦略的パートナーシップとしての二国間関係としてさらに強化・深化させていくべき段階にあると理解しています。
両国関係を強化させる余地はまだ多くあると思います。昨今、世界の安全保障環境は日に日に厳しくなっていますが、「欧州とインド太平洋の安全保障は不可分である」との認識の下、スペインとの安全保障・防衛分野での協力を一層強化していく所存です。2023年後期にはスペインがEUの議長国を務めることも踏まえ、日EU協力においてもスペインと連携を高めたいと思います。
また、再生エネルギーやインフラといった将来性のある分野において、日本とスペインの企業が協働し、関係を強化していくことも期待されます。私はこれまで中南米との関係に携わる機会が多くありましたので、こうした経験も活かしつつ、中南米やアジアにおいても両国企業が互恵的な共通のプロジェクトを進めていけるよう、できる限りの支援をさせていただければと思います。
国と国との関係を良くするには、両国民がお互いを理解し尊重しあうことが何よりも重要です。その意味では、スペイン人の日本に対する高い関心を大切にし、文化、学術、観光といった分野での人的交流を活性化させ、両国間の相互理解がさらに深まるよう努めたいと思います。こうした交流を妨げていた新型コロナウイルスの状況がようやく収束に向かい、日本へのビザなしでの個人観光が解禁された今、両国間に人的交流の大きな波を作っていきたいと思います。
日本とスペインは、互いに親しみを感じている友人であるだけでなく、民主主義、法の支配、人権の尊重といった基本的価値や将来の課題を共有する重要なパートナーです。4世紀にわたる友好関係を大切にしつつ、両国関係を新たなステージに上げるべく、皆様とともに最大限の努力をしていきたいと思っております。
皆様からのご支援ご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願いいたします。
令和4年12月
駐スペイン日本国特命全権大使
中前 隆博
駐スペイン日本国特命全権大使
中前 隆博