大使挨拶

令和6年1月1日

令和6年新年挨拶

謹んで新年のお慶びを申し上げます。
 
2023年の日西関係を振り返ると、コロナ禍を経て、文化や観光といった分野での交流が本格的に再開しただけでなく、安全保障・防衛分野や経済分野においても二国間の戦略的パートナーシップの深化につながる機会が多数ありました。
 
安全保障・防衛分野では、昨年1月にスペインを訪問した井野防衛副大臣(当時)とロブレス防衛大臣の会談を皮切りに2023年中に、防衛当局間協議や共同訓練が実施されるなど、二国間の対話・協力が確実に深化しています。欧州とインド太平洋地域の情勢が相互に影響しあう世界において、両国が協働していく余地は多大にあるとの認識の下、私自身も、引き続き、スペインがインド太平洋や東アジアをスペイン自身の戦略の中でしっかりと位置付けていくよう働きかけていきたいと思います。
 
経済分野でも、2023年は日西関係のポテンシャルを強く感じた1年でした。コロナ禍を経て、官民それぞれでの経済対話が再開され、多くの企業関係者が当地を訪問されました。二国間の貿易・投資の促進という従来モデルの協力だけでなく、両国企業がグローバルな市場で連携し高い競争力を獲得するという新しい発想が生まれています。グリーン分野(水素や再生可能エネルギー)やデジタル分野等、将来性のある分野で具体的なプロジェクトの進展もみられます。この機運をより大きな動きにするために更に多くの企業関係者にスペインへ目を向けていただけるよう、引き続き努力してまいります。
 
文化交流の分野では、スペイン各地で様々な日本文化行事に参加する機会を得て、スペインにおける日本文化への関心の高まりを嬉しい驚きとともに肌で感じることができました。日本語学習者も年々増加しており、大学関係者や研究者により学術交流も盛んに行われています。文化交流や学術交流は相互理解の原動力であり、各地でイニシアティブを発揮されている関係者の皆さまに心から感謝申し上げます。
 
2023年は、地域レベルでの交流も盛んに行われました。バスク州は同年を「日本・バスク交流年」とし、年間を通じ、日本とバスク州において、経済・文化・観光・食といった分野で双方向の交流が行われました。また、サラマンカでは、サラマンカ大学が「日本年」として様々な事業を実施したほか、11月には両国の官民学セクターの参加を得て、第23回日本・スペイン・シンポジウムが開催されました。
 
日本もスペインもお互いに個性豊かな地域を持つ国であり、このような両国の交流が地域レベルでも深まっていくことは大変重要なことです。最近では、日本酒などの「食(ガストロノミー)」の普及促進にも取り組んでいます。観光促進を含め、両国間の新しいヒト・モノの流れを生み出すことにもチャレンジしていきたいと考えています。本年10月にマドリード~東京間の直行便が再開されることは、両国の経済、文化、観光面でも良い影響を生み出すものと思われ、その意味で大変嬉しいニュースです。
 
私事になりますが、34年ぶりにスペインに着任してから丸一年が経過しました。私個人の思いとして、の国の深い歴史や伝統に改めて感銘を受ける一方、インフラや産業、そして国際社会における責任という意味でもスペインが大きな変貌を遂げたことに感服した一年でもありました。また、かつて研修時代を過ごした街を再訪し、旧知の友人に再会する機会も得て、懐かしさとともに新たな気持ちを持って任務を開始する年でありました。
 
現在、世界は歴史的転換点におかれています。これまで築かれてきた国際秩序が根底から揺るがされ、世界の分断が深まる中において、4世紀以上にわたる確かな友情と基本的価値観を共有するスペインとの関係は益々重要となっています。日西関係は、二国間だけで完結していた線状の関係から、グローバルな市場や国際社会においても携を深めるという面状の広がりを持った関係に進化していると感じます。2023年、日本とスペインは、それぞれG7とEUの議長国を務めました。引き続き両国がグローバルに連携していけるよう、伝統的な友好関係を維持しつつ、新たな分野を切り開く志をもって、2024年も最大限の努力をしていきたいと思います。本年も変わらぬご支援・ご協力を賜りますよう、お願いいたします。
 
皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。
 
令和6年1月
駐スペイン日本国特命全権大使
中前 隆博
 

着任挨拶

12月12日、駐スペイン日本国大使として着任いたしました中前隆博(なかまえ たかひろ)です。スペインでの勤務は、駆け出し外交官だった1986年から88年に、バジャドリードとマドリードで生活をして以来となります。当時EC加盟に沸いていたスペインは、いまやEU第4位の大国となり、素晴らしい変貌を遂げました。一方、豊かな食文化、芸術、文化遺産といった魅力は変わることなく輝き続けており、再びこの地で皆様とともに過ごせることを大変うれしく思います。
 
日西関係は、伝統的な友好関係、皇室・王室間の良好な関係という強固な基盤の上に、日西交流400周年事業や外交関係樹立150周年事業等を通した相互理解の促進や、様々な分野における人的交流の活性化等により大きく発展してきました。そして現在、これを戦略的パートナーシップとしての二国間関係としてさらに強化・深化させていくべき段階にあると理解しています。
 
両国関係を強化させる余地はまだ多くあると思います。昨今、世界の安全保障環境は日に日に厳しくなっていますが、「欧州とインド太平洋の安全保障は不可分である」との認識の下、スペインとの安全保障・防衛分野での協力を一層強化していく所存です。2023年後期にはスペインがEUの議長国を務めることも踏まえ、日EU協力においてもスペインと連携を高めたいと思います。
 
また、再生エネルギーやインフラといった将来性のある分野において、日本とスペインの企業が協働し、関係を強化していくことも期待されます。私はこれまで中南米との関係に携わる機会が多くありましたので、こうした経験も活かしつつ、中南米やアジアにおいても両国企業が互恵的な共通のプロジェクトを進めていけるよう、できる限りの支援をさせていただければと思います。
 
国と国との関係を良くするには、両国民がお互いを理解し尊重しあうことが何よりも重要です。その意味では、スペイン人の日本に対する高い関心を大切にし、文化、学術、観光といった分野での人的交流を活性化させ、両国間の相互理解がさらに深まるよう努めたいと思います。こうした交流を妨げていた新型コロナウイルスの状況がようやく収束に向かい、日本へのビザなしでの個人観光が解禁された今、両国間に人的交流の大きな波を作っていきたいと思います。
 
日本とスペインは、互いに親しみを感じている友人であるだけでなく、民主主義、法の支配、人権の尊重といった基本的価値や将来の課題を共有する重要なパートナーです。4世紀にわたる友好関係を大切にしつつ、両国関係を新たなステージに上げるべく、皆様とともに最大限の努力をしていきたいと思っております。
 
皆様からのご支援ご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願いいたします。
 
 
令和4年12月
駐スペイン日本国特命全権大使
中前 隆博