大使挨拶

令和4年12月12日
12月12日、駐スペイン日本国大使として着任いたしました中前隆博(なかまえ たかひろ)です。スペインでの勤務は、駆け出し外交官だった1986年から88年に、バジャドリードとマドリードで生活をして以来となります。当時EC加盟に沸いていたスペインは、いまやEU第4位の大国となり、素晴らしい変貌を遂げました。一方、豊かな食文化、芸術、文化遺産といった魅力は変わることなく輝き続けており、再びこの地で皆様とともに過ごせることを大変うれしく思います。
 
日西関係は、伝統的な友好関係、皇室・王室間の良好な関係という強固な基盤の上に、日西交流400周年事業や外交関係樹立150周年事業等を通した相互理解の促進や、様々な分野における人的交流の活性化等により大きく発展してきました。そして現在、これを戦略的パートナーシップとしての二国間関係としてさらに強化・深化させていくべき段階にあると理解しています。
 
両国関係を強化させる余地はまだ多くあると思います。昨今、世界の安全保障環境は日に日に厳しくなっていますが、「欧州とインド太平洋の安全保障は不可分である」との認識の下、スペインとの安全保障・防衛分野での協力を一層強化していく所存です。2023年後期にはスペインがEUの議長国を務めることも踏まえ、日EU協力においてもスペインと連携を高めたいと思います。
 
また、再生エネルギーやインフラといった将来性のある分野において、日本とスペインの企業が協働し、関係を強化していくことも期待されます。私はこれまで中南米との関係に携わる機会が多くありましたので、こうした経験も活かしつつ、中南米やアジアにおいても両国企業が互恵的な共通のプロジェクトを進めていけるよう、できる限りの支援をさせていただければと思います。
 
国と国との関係を良くするには、両国民がお互いを理解し尊重しあうことが何よりも重要です。その意味では、スペイン人の日本に対する高い関心を大切にし、文化、学術、観光といった分野での人的交流を活性化させ、両国間の相互理解がさらに深まるよう努めたいと思います。こうした交流を妨げていた新型コロナウイルスの状況がようやく収束に向かい、日本へのビザなしでの個人観光が解禁された今、両国間に人的交流の大きな波を作っていきたいと思います。
 
日本とスペインは、互いに親しみを感じている友人であるだけでなく、民主主義、法の支配、人権の尊重といった基本的価値や将来の課題を共有する重要なパートナーです。4世紀にわたる友好関係を大切にしつつ、両国関係を新たなステージに上げるべく、皆様とともに最大限の努力をしていきたいと思っております。
 
皆様からのご支援ご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願いいたします。
 
 
令和4年12月
駐スペイン日本国特命全権大使
中前 隆博