外務大臣の岸田文雄です。
本日は,国際協力60周年記念シンポジウムに御参加いただき,ありがとうございます。特に,クラークUNDP総裁,デル・ロサリオ・フィリピン外務大臣,カマウ・ケニア運輸インフラ長官には,本シンポジウム出席のため訪日いただきました。心から歓迎するとともに,感謝申し上げます。
さて,今年,我が国が政府開発援助(ODA)を開始して60年の節目を迎えました。私は,今年の3月,日本記者クラブで11年ぶりにODA大綱を見直すことを発表しました。
その背景にあるのは,ODAをめぐって国内外で大きな変化が生じており,ODAに求められる役割も変わっているということです。1954年に我が国がODAを開始してから今日まで,190か国・地域に対するODAを通じて,開発途上国の安定と繁栄に貢献してきました。このことは,開発途上国との関係の強化,日本の存在感の向上につながりました。
しかしながら,アジアやアフリカ,中南米の経済発展に伴い,この10年で,開発途上国に流入する資金でODAの占める割合は4割から2割弱にまで低下し,代わりにODAの3倍近い民間資金が開発途上国の開発に大きな役割を果たすようになっています。日本のODA予算も,厳しい財政事情の下,年々減少し,当初予算では一時期の半分以下にまで落ち込んでいます。
このような中,今後の日本のODAの在り方をもう一度見つめ直そう,そう思って今回のODA大綱見直しの議論をスタートしました。
本日は,この問いかけに対する私自身の考えをお話ししたいと思います。